2014年8月31日(日)、国際的ピアニスト広瀬悦子 のコンサートが響きホールで開催されました。



きれいなワンピース姿の広瀬さん、リハーサルに現れます。
開場2時間前だというのに、もう並んで待っている熱烈なファンがいます。

楽屋に荷物を置くと、すぐリハーサル。
演奏順にピアノのタッチ、ホールの響きを確かめながら、全ての曲をしっかり弾き込みます。

リハーサルが終わるとまもなく開場、今日はほぼ満席の予定。客席が期待に満ちています。

客電が落ち舞台が明るくなると、真っ赤なドレスの広瀬さんが登場です。

最初はスカルラッティのソナタを3曲。端正な古い時代の音楽を気持ちよく聴かせてもらいました。

続いてベートーヴェンの「熱情」。この曲は3歳からピアノを習い始めた広瀬さんのあこがれの曲だったそうです。
広瀬さんの使っていた教本の最後の曲だったとか。
なんと彼女は8歳でその曲に到達したんですって。「熱情」を8歳……!
言葉がありません。
もちろん素晴らしい演奏を聴かせてくれました。

休憩をはさんで第2部の開演です。
第2部はスペイン、ロシアの作曲家の作品です。
今回のプログラムのキーワード、「パッション」「火」それが存分に現れた選曲でした。(ドレスも)

このプログラムの全体は2ヶ月前に決定したそうです。
おかげで、今弾きたい曲を選ぶことができたと喜んでいらっしゃいました。
時には2年前に曲を決めなくてはいけないコンサートもあるとか。
ピアニストも大変ですね。

さて第2部、まずスペインの作曲家3人の作品。
アルベニスのスペイン組曲より「アストゥリアス」、
グラナドスのスペイン舞曲集より「オリエンタル」「アンダルーサ」、
ファリャの「火祭りの踊り」。
異国情緒豊かなメロディー、響きにとろけます。

広瀬さんは大変なテクニックの持ち主で、どんな曲も何の苦もなく楽々と弾いていると私には見えるのですが、特にすてきなのはピアニシモ。
小さい音だからこそよけいに生き生きと表情豊かに届きます。
そして、ひとりの人が、二本の手だけを使って演奏しているはずなのに、同時にいくつもの音色の別の音楽が重なり、響き合って聞こえます。

第2部後半は、ロシアの作品。
スクリャビンの「炎に向かって」、
バラキレフの「ひばり」「イスラメイ」。
今回のプログラム最後の曲、「イスラメイ」はピアノ曲のレパートリーの中で最も演奏困難な曲といわれているそうですが、広瀬さんは、おもしろい音楽として私たちに聴かせてくれました。
とはいえ難曲なのでしょう、最後の音が消えた後、弾き切ったという表情の広瀬さんでした。

お客様の拍手に応えて再び登場、アンコールにグルックの「メロディー」という曲を弾いてくれました。
先ほどの「イスラメイ」と対照的な静かな曲です。

演奏が終わって、熱い拍手にもう一度登場した彼女はおもしろい曲を弾き始めました。
新しい時代の作品でしょうか。リズミカルで勢いがあります。
途中で、鍵盤ではなく、ピアノの本体を手のひらでたたいたり、舌打ちでリズムを出したり。
お客様も大喜びでした。
ボルコムの「蛇のキス」という曲だそうです。

バラエティーに富んだプログラムにお客様もピアノを十分堪能してくれたようです。
広瀬さん、ありがとうございました。

by ルーシー

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