2011年3月20日(日)、TAFF’11が行われました。

一週間前に東日本大震災があり,日々メディアに映し出される惨状と多くの地域の苦しい生活の様子を知るにつれ,スタッフ一同今回の開催について多いに悩みました。

 そんな中,アーティストからTAFF開催を期待しているというメールを受け取りました。そのメールには,緊張と不安の世相の中で,多くのアーティストの作品を鑑賞することが,新たな創造への力と勇気を引き出す一助になるのではないかとありました。

 いかに寒い冬でも,必ず春を迎え新しい命が芽生えるように,すばらしいアート作品はきっとたくさんの人々にいまを乗り越え生きる力を引き出してくれると思います。こんな思いから,スタッフ一同開催を決意しました。



 当日は,2部構成で第1部は3人のディレクターがセレクトした作品を中心に上映し,第2部では1980YEN のライブと,村井智氏をゲストに迎え「ALT」MVコメンタリー上映を行い,最後にトークセッション「ソーシャル/リアルタイムメディアの時代の映像と音楽」と題し,1980YEN×ALT×水江未来×TAFFの対談を行いました。

 第1部の最初は自らも作品を作る佐藤美代氏が,東海地区の芸術系大学の学生を中心としてセレクトした作品を6本上映しました。

 次に早稲田大学演劇映像学で研究助手を務めアニメーション研究を行い,自主レーベルCALFの運営もしている土井伸彰氏がセレクトした和田淳,クリスティン・アンドリュース,TOCHKA,水江未来などの日本と海外の作家の作品8本を「世界の短編アニメーションの現在2010-2011」として,分かりやすく楽しいコメントを付けながら上映しました。

 最後は,『TAFF’11セレクション』として,橋本新,平山志保,竹内泰人,さらに地元知多半島出身の石田佑康の新作を上映しました。どのパートも新作を中心にセレクトされていて,TAFFに来ればその年の話題作にふれることができると今年も思いました。



 第2部は1980YENのライブで幕が開き,電気器具を楽器代わりに,光や映像を使って繰り広げられたパフォーマンスは,舞台全体を不思議な空間に変えていきました。

 何とも楽しいエネルギッシュな時間が渦巻いていました。次にクリエイティブ・ヒップホップ・ユニットALTの村井智氏による「ALT」MVでは,制作の裏側なども紹介しながらの上映で,作品のみならずその話にも引き込まれてしまいました。

 最後のトークセッションでは水江未来氏も交え,アニメーションだけではなく,これからの映像作品やアート作品の方向性にまで話が及び,熱く限りないトークが続き,昨年と同じく終了時刻を超過してしまいました。



 午後2時から夕刻7時50分までの長丁場のイベントが,作品の質の高さとゲストの皆さんの熱いトークによって瞬く間に過ぎていきました。

 会場全体にアートと創造への熱いエネルギーが充満した6時間でした。今回もプロデュースをしてくれて,一緒に開催について悩んでくれたレーベル「pigeon」の吉田雅彦氏に感謝をするとともに,次回もすばらしい作品とゲストを期待したいと思います。なお,次回のTAFFは今年の12月に開催される予定です。


By たかぴー

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