2021年11月27日(土)、ゆめプラ サロンコンサート2021「彗星のごとく~衝撃的な才能と超絶技巧~」が行われました。



八木大輔さんのコンサートを聴いた。
コロナの影響で客席が半分になっており、昼と夜の2回公演。私が聞いたのは夜の回で、ピアノを習っているのだろうか小さな子供たちが何人もいた。

シンと静まり返った会場の照明が変わり、いよいよコンサートが始まる。舞台に現れたのは、青年と呼ぶにはまだ早い、黒いシャツと黒いズボンの背の高い華奢な少年。

最初に弾いたのは、ベートーヴェンの「ロンド・ア・カプリッチョ」
これは「失われた小銭への怒り」と言う副題がついているユーモラスな曲。彼は粒の揃ったきれいな音で楽しい物語を紡いでいく。私は初めて聴いたこの曲で、彼の音楽に引き込まれてしまった。楽しい!


続くMCで「高校生ピアニストの八木大輔です」と自己紹介。八木くん、このフレーズはあと数ヶ月しか使えませんね。自宅に帰ると英語の小テストの勉強が待っていると学生らしい話題で和ませてくれた。
コロナ禍で、演奏する機会も少なく、ピアノについて迷いが生じたとき、この次に演奏する曲で救われたそうだ。

チェルニーの『ロードの歌曲「思い出」による変奏曲』
チェルニーと言えば練習曲のイメージが強く、こんなに素敵な曲を作曲していたとは知らなかった。素直な曲で、八木くんは宙を見つめながら、そこに漂う音楽の妖精と語り合うかのように演奏していく。

その後、13才で国際的なコンクールで史上最年少入賞した際に演奏した曲を含む、リストの作品を3曲。13才であんなにすごい曲を弾いて評価されるなんて、今日の小さな観客には大きな励ましになったのではないだろうか。


今回のプログラムのテーマは「愛と絆」ということで、次は「愛の喜び」と「愛の悲しみ」
これは、名ヴァイオリニスト、クライスラー作曲の作品を、同時代に活躍した名ピアニストであり大作曲家のラフマニノフがピアノ用に編曲したもので、かなり難しい曲だと思うのだが、八木くんはピアノと遊んでいるというか、ピアノで遊んでいるというか、なんとも楽しそうに弾いていた。

プログラムの最後は再びリストの作品で「ドン・ジョバンニの回想」
MCで、手を壊す人もいる大曲だと紹介していたが、聴いて納得。モーツァルトのメロディーを使ってはいるが、まさにリスト!
ホール全体に響き渡るピアノの音は圧巻だった。




そしてアンコールはシューマンの「アラベスク」
妻クララへのシューマンの愛の作品を通して、八木くんは私たちに愛を贈ってくれたようだ。

18歳になったばかりの八木くんの演奏は、若々しく、みずみずしく、歓びに溢れていた。何年かして歳を重ねた八木大輔さんの演奏をまた聴いてみたいと思う。

by ルーシー


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