2019年5月11日(土)、ゆめプラサロンコンサート2019「新時代の煌めく才能〜若きヴィルトオーゾ〜」と題して、上野耕平さんのサクソフォンコンサートが響きホールにて行われました。


現在、国内若手アーティストの中でもトップの活躍をみせる上野さん。本公演はチケットが早々に完売する注目公演のひとつでした。
開場前にも、たくさんのお客様が、とても長い列を作って入場を待っていました。

コンサートの前半は、ピアニスト・山中惇史さんと共に、4曲を披露してくれました。
「ドヴォルザークは鉄道好き」というエピソードに共感する上野さんの楽しいトークの後に演奏された「家路〜交響曲第9番≪新世界より≫」は、有名な第2楽章のメロディーで、ホールの中を一気に夕暮れの景色へと誘われました。
前日、ゆめたろうプラザから見えるきれいな夕陽を写真に収めていた上野さんが、その景色を音で映し出してくれているようでした。
きっと客席のみなさんも、思い思いの「家路」の景色を思い浮かべていたと思います。


前半最後の「カルメンファンタジーforアルトサクソフォン」は、ピアノの山中さんの編曲によるもので、オペラ「カルメン」の魅力ある音楽が凝縮されていました。
物語の登場人物が次から次へと現れ、ステージの上で熱唱し、激しく感情がぶつかり合うオペラを、山中さんの編曲と上野さんの演奏テクニックが合わさり、サックスとピアノで見事に表現されていました。
その後、前半終了後の休憩中に、物販コーナーでこの曲の楽譜を熱心に見ているお客様が何人かいらっしゃいました。

後半は、アルトサクソフォン1本だけの演奏。
バッハ「無伴奏ヴァイオリンパルティータ第2番」の大熱演でした。
音がたくさん並んでるだけのものではなく、一つの音が鳴り、その響きが聞こえている上に重なる次の音とのハーモニーの美しさを堪能する曲なのだと、再発見しました。今回の響きホールの響きを最大限に生かした演目だったと思います。
客席の集中力も相まって、とても緊張感のあるステージでした。


名演に鳴りやまぬ拍手の後、アンコールはがらりと雰囲気を変えて「山中惇史の鉄道唱歌900番台」というタイトルで、鉄道好きの上野さんが山中さんに依頼して「鉄道唱歌」を楽しいアレンジにした曲でした。
曲の途中では、名鉄パノラマカーのミュージックホーンのメロディが入ったりして、地元民の笑いを誘っていました。

上野さんと山中さんと終演後にお話ししたら、「今日ステージに入った瞬間の、お客さまの前のめり感がすごかった」と二人そろって仰っていました。
それだけこの公演を楽しみにしていたお客様ばかりだったと思いますが、今日はその期待を超える演奏を聴くことができたと思います。
また今後もお二人の活躍に注目していきたいです。

by S.A

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