
2025年11月22日(土)ゆめプラ サロンコンサート2025 vol.5
中川優芽花「未来、その先に輝く~ドイツ・ピアニズムの本流~」が行われました。
ピアニスト中川優芽花さんの演奏は、時に繊細に、時に力強く、音楽が持つ本来の感情の深さを見事に伝えるものでした。ステージに現れた彼女は、柔らかな雰囲気をまとい、にっこりと優しく微笑むその姿だけで会場をほんのり温かくしてくれました。穏やかな人柄がにじみ出る佇まいに癒されましたが、ピアノの前に座った瞬間、眼差しは鋭く真剣に変わります。凛とした姿勢と集中した気迫は、まさに”表現者”そのもの。一音一音に魂を込めるその演奏に、自然と息を呑んでしまいました。
【前半プログラム】
①モーツァルト:ソナタ第3番
②モーツァルト:ソナタ第17番
③モーツァルト:アダージョ

モーツァルトのソナタ第3番は、若きモーツァルトが描いた瑞々しい感性がそのまま音となってあふれ出しているかのよう。中川さんの指先から生まれる音の粒は弾むように軽やかで、まるで小鳥が舞うようなコロコロとした音色がホール全体に広がっていきました。続くソナタ第17番とアダージョは、歳を重ねたモーツァルトの深みある心情が温かな音で描かれ、まるで彼女自身の優しさが音となって響いているかのようでした。音ひとつひとつが丁寧に磨かれていて、そこに彼女の純粋な音楽への愛情が感じられました。

【後半プログラム】
④モーツァルト:ソナタ第2番
⑤ショパン:マズルカ 作品30
⑥ショパン:ノクターン 作品62-1
⑦ショパン:英雄ポロネーズ
ショパンの作品では空気が一段と張り詰め、会場全体が深い集中に包まれました。世界の舞台、ショパンコンクールを魅了した彼女のショパンは、光と影を鮮明に描き分け、音楽の奥底まで踏み込むような圧倒的な表現力。特に英雄ポロネーズは、息を飲むほどの迫力で、誰もが1音たりとも聞き逃したくないと感じる演奏でした。高度なペダリング技術により、響きホールでは難しいとされる音の響きも見事にコントロールし、一台のピアノとは思えないほど色彩豊かな音楽が創り上げられました。
【アンコール】
⑧シューマン:トロイメライ
⑨ラフマニノフ:前奏曲
⑩ショパン:ワルツ
鳴り止まない割れんばかりの拍手に応え、なんとアンコールでは3曲を“大サービス”で演奏。優しく包み込むようなシューマンのトロイメライ、ラフマニノフの情感豊かな前奏曲、そしてショパンのワルツで締めくくられ、会場は最後まで熱気と感動に包まれていました。

心を揺さぶる演奏でありながら、ステージを降りるとまたふんわりと微笑む中川さん。そのギャップも魅力のひとつ。これからの活躍が楽しみでなりません。次に彼女の演奏を聴ける日が、今から待ち遠しいです。
byぴろこ

