2024年4月6日(土)ゆめプラサロンコンサート2024 vol.1「知性と情熱~神に愛されたヴァイオリニスト~」が行われました。
やっと帰ってきました、響きホール。こんなに近くでいい響きに浸れるんだった、そうそうそうだったと思いながら始まったサロンコンサート。
白いドレスでさっそうと現れた石上さんの胸を張ってヴァイオリンを弾く姿は、さながらギリシアの女神アプロディーテのよう。その美の女神は、同時にお話も楽しくとても気さくな方でした。
第一部の曲は、M.de ファリャ「スペイン舞曲」、J.マスネ「タイスの瞑想局」、F.クライスラー「愛の喜び」、幸田延「ヴァイオリンソナタ第2番」といった石上さんの好きな小品、休憩をはさんで第二部はJ.ブラームスの「ヴァイオリンソナタ第1番ト長調Op.78」。
石上さんは一つずつの曲を丁寧に解説してくれて、私は、へぇー、そうなんだと思うことしきり。
また、今はロマン派がお好きとのことで、クララ・シューマンとロベルト・シューマン、そしてブラームスの関りを熱く語ってくれました。せっかくこんなに話したのにシューマンの曲がないからと、第一部のアンコールとしてクララ・シューマンの三つのロマンス第一楽章を、そして第二部のアンコールとしてロベルト・シューマンの三つのロマンス第二楽章と、同じくロベルトの予言の鳥を演奏してくれました。
お話からも「好き」が伝わってきますが、演奏は、「好き」を大切に育て上げて熟成させた結実でした。
石上さんは、「ピアニストは伴奏ではなく共演者」とおっしゃいます。なるほど石上さんと北端さんの演奏は、渾然一体となって一つの世界を作っていました。ピアニスト泣かせの難しい曲も快く受けてくださる北端さんだそうです。石上さんのそんなお話を北端さんはニコニコと聞いていました。
驚いたのが第一部の終わり。ブラボーの掛け声とともに観客席で団扇がさっと上がった。クラシックのコンサートで初めての光景でした。後でうかがうと、団扇は石上さんの考案で、コロナで声を出して応援できなくなったときにその代わりとして始めたそうです。
グッズとして販売されている団扇は二種類あって、そのうちの一つに「あもいべ」と書いてありました。アモイべとは、石上さんのユニットの名前でもあるのですが、ギリシア語で変容、変化を意味する言葉です。
きっとこれからもどんどん変わっていかれることでしょう。新たな変容を遂げたお二人に、ぜひもう一度お目にかかりたいと思います。
by リリィ