2023年11月23日(木祝)ゆめプラサロンコンサート2023 vol.5「うたいあげる甘い音色~魅惑のオーボエ~」が行われました。
輝きホールのステージに、オーボエ奏者・古部賢一さんと、ピアニスト・兼重稔宏さんがにこやかに登場されました。

第一部はドイツ歌曲をオーボエとピアノで演奏するプログラム。

3曲目のシューマン「ミルテの花 作品25より第7曲『睡蓮の花』」はシューマン自身が結婚した幸せな時代の曲とのことでしたが、オーボエで奏でられたメロディーは日本の唱歌のような懐かしさや優しさを感じました。
異国の作曲家の旋律が日本の景色を思わせる不思議さを感じつつ、元の歌曲を聴いたり、歌詞を調べたりして、どんなことを歌っているのか知りたくなりました。

他の曲も、「子守歌」「奥様へのプレゼント」「失恋」と、誰かを想う歌にのせられたメロディーがとても心に染みる作品ばかりでした。

オーボエの音色は優しく温かい人の歌声のようで、歌曲を演奏することにとても合っていると思いました。

あとから古部さんにお話を伺い、歌曲に取り組む際は、声楽家の息遣いや元の言語歌詞のニュアンスを細かく表現することにこだわって演奏されていたと聞きました。
そのこだわりのおかげで、新しいオーボエの魅力も知ることが出来、歌曲への興味も広がりました。

第二部はサン=サーンスとバルトーク。

サン=サーンス「オーボエ・ソナタ 作品166」はサン=サーンスの最晩年の作品とのことでしたが、年齢やキャリアを思わせず、全編通して華やかさやみずみずしさを感じる曲でした。
2楽章は山々の連なる景色を思わせる優雅さを感じ、第3楽章の早い指回しには軽い興奮が心地よく、とても素晴らしい演奏でした。

2曲目・3曲目のバルトークは、ハンガリーの民謡をモチーフにしたメロディーが次々と浮き上がってくる作品でした。
民謡のメロディーは、第1部の歌曲と同じく、情景や人間の声を思わせるオーボエの音色がぴったりだなあと思いました。

今回のプログラムは、お二人で相談し、練りに練ったこだわりの詰まったものだそうで、とても聞きごたえがありました。
「ちょっとマニアック」とも仰っていましたが、曲の合間のMCで作曲者や曲についての解説をしてくださったので、はじめての曲でも構える事なく全編楽しむことができました。
オーボエの魅力を広く深く楽しめたと思います。

とても知性を感じるお二人の演奏とお話で、芸術の秋にふさわしい充実したコンサートになりました。

By S.A

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