2023年1月14日(土)響きホールにて、演劇公演「メガネニカナウ Presents 『テレグラキ』『ほぼ永遠の稽古場』」が開催されました。
関西小劇場界を中心に活動するプロデュース団体「メガネニカナウ」をお招きし、2作品同時上演を2ステージ行いました。
劇団・彗星マジックの名作二人芝居「テレグラキ」と、関西演劇祭2021の最優秀作品賞受賞作「ほぼ永遠の稽古場」共に、宇宙をテーマにした作品ということで、天文・宇宙など科学関連事業と芸術文化事業との2本立てで企画運営を行っているNPOたけとよにピッタリの演目だ!と思いました。
「テレグラキ」
舞台上に机と椅子が二組置かれただけのシンプルな景色が、開演と同時に真っ暗になり、わずかな明かりの中に意識が集中していきました。
物語が始まると、実際は2メートルほど離れているだけの2人が、響きホールの暗闇と、2人だけに当てられた照明によって、1万キロ以上離れた空間に変わっていました。
座っている場所から動かず、ヘッドフォンや電信のみのコミュニケーション、規則正しい音楽に乗せられたセリフの応酬。
制限と緊張の中に慣れ、逆に心地よさを感じてしまう頃に、激しい慟哭と感情の移り変わりがあり、ラストの開放感と物語の終焉が、25分の中にみっちり詰め込まれていました。
「シンプルなものを愛している」「複雑なものは残酷」と言っていた二人が、「意味がない」ものを通じて心を通わせていく様子を、五感を使って観客に伝えていく見事な作品と演出でした。
ラストの解釈などは見た人によって違うようですが、はっきりしないこと、明文化されないことで、逆に、作品の広がりや豊かさも感じました。
それを体現してくれた出演者2人の熱演にも、2ステージ共に、観客から大きな拍手が送られていました。
「ほぼ永遠の稽古場」
舞台には6つの台が並んだ、こちもシンプルな景色に転換されました。
物語は、緊迫した状況の中に、要所要所に笑いがちりばめられていて、緩急が絶妙のバランスに取られたヒューマンコメディ―でした。
お客さまもマスクの下で声を出して笑っていました。
フィクション世界だけど、リアルな演劇人の苦悩や「あるある」が混ざっていて、客席の演劇人たちからは共感のような笑いも起こっていました。
「劇場があって、そこに芝居があれば」「必ず、お客さんは待っていてくれる」というセリフを、役の中ではありますが、メガネニカナウ代表の上杉さんが言っていたことに今回の舞台への思いを重ねざるを得ませんでした。
そして、ラストのセリフ「おやすみなさい」が発せられた時、「テレグラキ」もラストのセリフが「おやすみなさい」であったことを思い出し、この2作品の重なりを感じて鳥肌が立ちました。(これは、偶然だとか!)
今回は「関西小劇場界」と言われる、関西を拠点にしている演劇人のみなさんをお迎えしたことで、ゆめたろうプラザがはじめての方、遠方からのお客さまも多くご来場いただきました。
「大阪から遠い」「名古屋から遠い」「武豊ってどこ?」と思いながらも足を運んで頂いたお客様にも、その心配を上回る演劇体験をしていただけたと思います。
1ステージの最後も、お客様の拍手がなかなかやみませんでしたが、2ステージ目も同じように拍手が続き、カーテンコールに出てきた出演者のみなさんの晴れやかな表情がとても印象的でした。
今後は「武豊」という字を見て、「たけゆたか」ではなく「たけとよ」と読んでもらえる、とても良い機会になったのではないでしょうか。
これからも様々な良い作品を紹介していけるよう、今回のご縁も大切にしながら、アンテナの感度を高めて事業企画をしていきたいと思いました。
メガネニカナウ武豊公演に寄せられた感想などのツイッターの呟きをまとめたページも、是非ごらんください。
by SA