2020年2月22日(土)、人形劇俳優たいらじょうの世界「毛皮のマリー」が上演されました。
たいらじょうさんは、2012年12月に子供向け公演「お花のハナックの物語」で初めてご来館されました。
その時、たくさんのお客様で大盛況だった様子がNPOたけとよスタッフにも記憶に強く残っていて、再び、ゆめプラにご登場いただくことになりました。
今回は「R15指定/大人の人形劇」として、秘められた扉を開くような心境で響きホールに入ると、舞台が黒い幕に覆われ、赤い幕や美しい装飾が吊り下げられ、開演前からマリーの部屋に誘われるようでした。
寺山修司原作の戯曲である「毛皮のマリー」は、様々な上演形式で行われてきましたが、今回は、人形・小道具すべてを、たいらじょうさんが一人で使って演じ分ける特殊な演出でした。
寺山修司の文学的な魅力として、ト書き(場面情景や照明のタイミングなど、舞台の演出を指定する説明書き)も言葉選びが美しいということで、登場人物のセリフとともに読み上げられるのも面白い演出効果を生み出していました。
舞台を大きく動き回り、しなやかに人形たちを操り、自分自身も登場人物のひとりになり、たいらさんの身体能力には凄みを感じました。
時折笑いも起こるような場面(アドリブではなく、これもほぼ原作通りとのこと!)もありましたが、マリーの独白の場面では張り詰めた緊張感がホール全体に充ち、舞台と客席の一体感がありました。
「虚構とは何か」「そのままでいいものなんか、ひとつもない」ということを物語の中で何度も繰り返していました。人形という虚構、演じるという虚構。そして生身の人間がひとり。「真実」とは何なのか。
答えがはっきり分かるものばかりでなく、分からないものもあっても良いのではないか。そんなことを考えさせられるような舞台でした。
とてもアーティスティックで、「人形劇」の概念を超えた舞台公演でした。
世間では外出自粛の風潮がある中、ほんとうにたくさんの客様にお越しいただき、感動を共有できてとても嬉しかったです。
by S.A